頭痛とは、頭部の一部または全体に生じる痛みの総称です。ズキズキする、締めつけられる、目の奥が痛むなど、痛み方や場所は人によってさまざまです。
日本では、慢性的な頭痛に悩む「頭痛持ち」が3人に1人、国内で約4000万人にのぼるといわれています。その大半は命に関わらないタイプですが、なかにはくも膜下出血のように、すぐに治療が必要な病気が隠れていることもあります。
この記事では、頭痛の種類と原因、自分でできる対処法と予防のしかた、そしてすぐに病院へ行くべき危険なサインを、わかりやすく解説します。
頭痛は「一次性」と「二次性」の2つに区別される

頭痛は、原因となる病気があるかどうかで、一次性頭痛と二次性頭痛の2つに分けられます。
国際頭痛分類では細かく分けると300種類以上にのぼりますが、まずはこの2つの違いを押さえることが大切です。
| 分類 | 特徴 | 主な例 |
|---|---|---|
| 一次性頭痛 | 頭の中に明らかな異常がないのに起こる頭痛。「頭痛持ち」の大半がこのタイプで、慢性頭痛とも呼ばれる | 片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛 |
| 二次性頭痛 | ほかの病気が原因で起こる頭痛。命に関わるものを含む | くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍、髄膜炎 |
頭痛の約9割は一次性頭痛といわれ、生活の質は下がるものの、すぐに命に関わることは多くありません。
一方、二次性頭痛は原因となる病気の治療が必要で、見逃してはいけない頭痛です。
頭痛の主な種類と特徴

一次性頭痛の代表は、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛の3つです。
これに、痛み止めの飲みすぎで起こる「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」を加えて覚えておくと、自分の頭痛の見当をつけやすくなります。
| 種類 | 痛む場所・痛み方 | 続く時間の目安 | 一緒に起こりやすい症状 |
|---|---|---|---|
| 片頭痛 | 頭の片側または両側が脈打つようにズキズキ痛む | 4〜72時間 | 吐き気、光や音への過敏、動くと悪化。約3割の人は前に視野がチカチカする「前兆」がある |
| 緊張型頭痛 | 頭全体が締めつけられる、重い。拍動はない | 30分〜数日 | 肩こり・首こり。日常生活への支障は比較的軽い |
| 群発頭痛 | 片方の目の奥が、えぐられるように激しく痛む | 15分〜3時間 | 涙、鼻水、目の充血。一定期間に毎日のように起こる |
| 薬剤の使用過多による頭痛 | 頭全体の鈍い痛みが、ほぼ毎日続く | 持続的 | 頭痛薬を月に10〜15日以上飲み続けている |
片頭痛
ズキズキと脈打つ痛みが、数時間から数日続きます。
体を動かすと痛みが強まるため、暗く静かな場所で休みたくなるのが特徴です。女性に多く、仕事や家事に大きく影響することがあります。
緊張型頭痛
一次性頭痛の中で最も多いタイプです。頭を締めつけられるような、あるいは重い帽子をかぶったような痛みが、両側に出ます。
パソコン作業など同じ姿勢が続く環境で起こりやすく、肩や首のこりを伴うことが多くなります。
群発頭痛
片方の目の奥に、じっとしていられないほどの激痛が起こります。1〜2か月ほどの「群発期」に集中して、ほぼ毎日、同じ時間帯に起こる傾向があります。
痛みと同じ側の涙や鼻水を伴う点が、ほかの頭痛との見分けのポイントです。
薬剤の使用過多による頭痛
頭痛薬を飲む回数が増えるほど、かえって頭痛が起こりやすくなる状態です。
市販薬で対処している人ほど起こりやすいため、薬の使用が月に10日以上に及ぶ場合は、一度医師に相談しましょう。
頭痛が起こる原因ときっかけ

頭痛の原因は種類によって異なり、一次性頭痛では「体質」に「きっかけ(誘因)」が重なって起こることが多いとされています。
| 頭痛の種類 | 主な原因・背景 | 主な引き金 |
|---|---|---|
| 片頭痛 | 脳の血管や神経の働きの変化が関わると考えられている | ストレスからの解放、睡眠の過不足、空腹、天候や気圧の変化、人混み、強い光、飲酒(特に赤ワイン)など |
| 緊張型頭痛 | 長時間の同じ姿勢や目の疲れ、精神的ストレスにより首・肩の筋肉が緊張し、血流が悪くなる | 同じ姿勢の継続、目の疲れ、精神的ストレス |
| 群発頭痛 | 目の奥の血管拡張や体内時計との関わりが指摘されているが、明確な原因は十分にわかっていない | 群発期の飲酒(発作の引き金になるため控えることが勧められる) |
| 二次性頭痛 | くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍、髄膜炎など、頭や体の病気が原因 | 病気そのもの(生活習慣などの引き金ではなく、基礎疾患による) |
同じ人でも、複数のタイプの頭痛を併せ持つことは珍しくありません。「いつもの頭痛」と思い込まず、痛み方が変わったときは注意が必要です。
頭痛の対処法とセルフケア

対処法は頭痛の種類で変わります。自分のタイプに合わない方法は、逆効果になることもあります。
種類別の対処のしかた
暗く静かな部屋で休み、痛む部分を冷やします。痛みが強くなる前に早めに薬を飲むほうが効きやすいとされています。入浴やマッサージは血管が広がって悪化することがあるため、発作中は避けましょう。
首や肩を温める、軽いストレッチや体操をする、こまめに休憩をとるなど、血流を促す方法が向いています。
市販薬では効きにくく、専門的な治療が必要です。群発期は禁酒し、熱い風呂やサウナも控えましょう。
市販薬を使うときの注意
市販薬は、添付文書に書かれた用法・用量を守り、飲む回数が増えすぎないようにしましょう。
頭痛薬を月に10日以上飲んでいる場合は、薬の使いすぎによる頭痛の可能性があるため、医師に相談してください。
妊娠中や持病のある方、ほかの薬を飲んでいる方は、使う前に薬剤師または医師に相談しましょう。
日常でできる予防
- 睡眠時間と起きる時間をなるべく一定にする
- 食事を抜かない
- パソコンやスマホ作業では、1時間に1回は休憩して首肩を動かす
- 頭痛を起こしやすい誘因(飲酒、強い光、人混みなど)を把握して避ける
- 頭痛ダイアリーをつける
頭痛ダイアリーとは、頭痛が起きた日、痛みの強さ、飲んだ薬、そのときの状況を記録するノートやアプリのことです。誘因が見つかりやすくなり、受診時に医師へ正確に症状を伝える助けにもなります。
すぐ受診すべき危険な頭痛のサイン

「突然始まった」「これまでと違う」頭痛は、二次性頭痛の可能性があるため、早めの受診が必要です。
特にくも膜下出血は、発症の瞬間を覚えているほど突然、数分から1時間以内に痛みが最も強くなるのが特徴です。
迷わず救急車を呼ぶべきケース
- 突然、バットで殴られたような、経験したことのない激しい頭痛が起きた
- 頭痛とともに、意識がもうろうとする、呼びかけへの反応が鈍い
- 頭痛とともに、手足のまひやしびれ、ろれつが回らない、物が二重に見えるなどの症状がある
- 頭痛とともに、けいれんを起こした
早めに医療機関を受診したいケース
- 頭痛が毎日のように続く、または次第に頻度や痛みが強くなっている
- いつもの頭痛と様子が違う
- 発熱や首のこわばり(あごを胸につけると痛い)を伴う
- 50歳を過ぎてから初めて頭痛が起こるようになった
- こめかみを押すと痛む、物をかむとあごが痛い
- がんや免疫が低下する病気がある、または免疫を抑える薬を使っている
- 頭を強くぶつけたあとから頭痛が続いている
数時間から数日で軽くなる頭痛の前触れ(軽い頭痛やだるさ)が、あとから重い発症につながることもあります。症状が一度おさまっても、不安があれば受診しましょう。
※ここに挙げたサインは目安です。当てはまらなくても不安なときは、医療機関に相談してください。
頭痛は何科を受診すればよい?

慢性的な頭痛は、「頭痛外来」を設けている脳神経外科や神経内科が第一候補です。ペインクリニックで相談できる場合もあります。
突然の激しい頭痛や、まひ・意識障害を伴う場合は、MRIやCTをすぐに撮影できる脳神経外科、または救急対応のできる総合病院を受診してください。
受診の際は、いつから・どのくらいの頻度で起こるか、痛む場所と痛み方(ズキズキ、締めつけなど)、続く時間、吐き気や光への過敏などの随伴症状、飲んだ薬の名前と回数をメモして伝えると、診断がスムーズです。頭痛ダイアリーの記録があれば、あわせて持参しましょう。
頭痛に関するよくある質問

記事まとめ:頭痛は「種類」と「危険なサイン」を知ることが第一歩

頭痛とは頭部の痛みの総称で、大きく一次性頭痛と二次性頭痛に分けられます。大半は片頭痛・緊張型頭痛などの一次性頭痛ですが、突然の激しい頭痛や、いつもと違う頭痛には命に関わる病気が隠れていることがあります。
自分の頭痛のタイプを知って種類に合った対処をし、睡眠・食事・姿勢など日常の誘因を見直しましょう。頭痛ダイアリーで記録しておけば、受診のときに医師へ正確に伝えられます。
危険なサインがあるときは、迷わず受診や救急要請をしてください。
頭痛が長引いて生活に支障が出ているときは、我慢せずに頭痛外来や脳神経外科などの専門医を受診するか、姿勢や首・肩のこりからくる頭痛であれば整骨院へ相談してみましょう。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。

